子どもの権利

「子どもの権利」について、子どもの貧困が注目を浴びる中で耳にする機会も増えたのではないかと思います。では、子どもの権利条約という条約を聞いたことはあるでしょうか?今回は、子どもの権利についての歴史や条約を通して「子どもの権利」について考えていきたいと思います。

 

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まずは、「子どもの権利」についてみる前に、広く人権の歴史をみていきましょう。

人権の歴史は、イギリスのマグナカルタまでさかのぼります。マグナカルタは、人権を尊重するものでしたが、そこで認められたのは、国王に承認された権利に限られていました。その後、アメリカのバージニア権利章典、フランス人権宣言と人権の概念は発展していきました。しかし、ここでいう「人権」とは、「大人」や「男性」を指しており、「子どもの権利」には言及がなかったのです。それでは、いつから「子どもの権利」が言われるようになったのでしょうか?

 

 

「子どもの権利」について,その始まりはルソーという哲学者であると言われています。ルソーは,フランス革命期の「社会契約論」で有名ですが,名前や著書を歴史の時間に聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。彼は,教育の中では,「子どもの発見」をした人として有名です。「子どもの発見」と聞くと,意味が分からない人も多いかもしれません。たしかに,ルソー以前の時代にもみなさんがイメージするような「子ども」はいました。しかし,その「子ども」は,「小さな大人」として扱われ,子どもは大人と同じように労働させられていました。しかし,著書「エミール」の中で述べているように,子ども自身の中に発達しようとする力があり,自発的な経験によってその力が伸びていくとルソーは考えました。「子ども」を,大人とは異なる存在であると考えた点から,彼は「子どもの発見者」と呼ばれたのです。

 

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しかし,2度の世界大戦により,多くの子どもの命と人権が奪われました。

第一次世界大戦後の1924年に,戦争で多くの子どもの命が失われたことを反省し,世界初の国際児童権利宣言が国際連盟で採択されました。前文には,「人類は児童にたいして最善の努力を尽くさねばならぬ義務のあることを認め」とあり,子どもの適切な保護が言われました。第二次世界大戦後の1959年には,「児童権利宣言」が国際連合で採択されました。第一次世界大戦後、子どもの権利に関して、子どもの保護という側面が強かったです。しかし、「児童権利宣言」以降は、特にアメリカなどで権利主体としての子どもという認識が強まっていきました。そして,「児童の権利に関する条約」(子どもの権利条約)が同じく国際連合で1989年に採択されました。

この子どもの権利条約について詳しくみていきましょう。

 

子どもの権利条約は、1989年の第44回国連総会で採択され、1990年に発効されました。正式には、「子どもの権利に関する条約(Convention on the Right of the Child)」と言います。人権としての子どもの権利の保障を締約国に義務付けるものです。日本は1994年に批准しました。

ユニセフのホームページには、子どもの権利条約について以下の4つの権利が挙げられています。

①生きる権利

子どもたちは健康に生まれ、安全な水や十分な栄養を得て、健やかに成長する権利を持っています。

②守られる権利

子どもたちは、あらゆる種類の差別や虐待、搾取から守られなければなりません。

紛争下の子ども、障害をもつ子ども、少数民族の子どもなどは特別に守られる権利を持っています。

③育つ権利

子どもたちは教育を受ける権利を持っています。また、休んだり遊んだりすること、様々な情報を得、自分の考えや信じることが守られることも、自分らしく成長するためにとても重要です。

④参加する権利

子どもたちは、自分に関係のある事柄について自由に意見を表したり、集まってグループを作ったり、活動することができます。そのときには、家族や地域社会の一員としてルールを守って行動する義務があります。

 

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この4つの権利について,日ごろの生活で意識していることもあれば,そうでないこともあると思います。また,自分の目の前には見えなくても自分の知らないところで起こっていることもあるかと思います。

政策や支援の実施により,国ができることもあります。そして,一人ひとりにできることもあるのではないかと思います。このコラムを通して,まずはわたしたち大人が子どもの権利について知ることが重要ではないかと思います。そして,今まさに教育を受けている子どもたちにも自分たちの権利について知ってもらうことも重要です。権利の主体は子どもです。子どもが自らの権利について知らなければ権利は行使できません。「人権は大事だ」と言葉で伝えて終わるのではなく、子どもたちが人権について自ら考えられるような授業、活動を取り入れれば、子どもたちは自分たちの権利についてより深い認識をするのではないでしょうか。さまざまな人権教育の実践を知ることも教育に携わる大人たちができることではないでしょうか。子どもを教える立場の人たちには,まず自分たちが権利について知り,それを子どもたちにも伝えていき,子どもの権利が尊重される社会が目指されるべきではないでしょうか。

 

参考文献

山懸文治・岡田忠克編,2002,「よくわかる社会福祉」ミネルヴァ書房, pp.124-125。

http://urx.blue/FtN3

神原文子・杉井潤子・竹田美和編,2009,「よくわかる現代家族」ミネルヴァ書房,pp.66-67。http://urx.blue/FtN9

 

濱川今日子,2009,「子ども観の変容と児童権利条約」総合調査報告書「青少年をめぐる諸問題」国立国会図書館,pp.66-76。

http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/document/2009/200884/15.pdf

 

ユニセフホームページ

http://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html

http://www.unicef.or.jp/kodomo/teacher/pdf/sp/sp_14.pdf(2017/8/20アクセス可)

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