インクルーシブ教育

インクルーシブとは?

 

「インクルーシブ」という言葉をみなさんは聞いたことがあるでしょうか?

教育に興味のある人なら、特別支援教育の中できいたことがある人もいるかもしれません。インクルーシブ教育とは、社会のマジョリティ(多数派)によって排除され、あらゆる局面で制約を受けてきた集団を再び社会の中心部に含み込み(インクルージョン)、教育することをいいます。

 では、具体的に「マジョリティによって排除される」ことや、「インクルージョンする」こととはどういったことでしょうか?

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「排除と包摂」とは?

 

 まず、「マジョリティによって排除される」ことを見ていきましょう。マジョリティが多数派であることに対して、マイノリティは少数派と訳されます。マイノリティは、立場が弱いことも多く、マジョリティによって排除されることも多いです。では、「マイノリティがマジョリティによって排除される」とはどういったことでしょうか?

 たとえば、学校のある場面を考えてみてください。教室に、外国にルーツをもつ子どもがいたとします。その子は、「日本人同士の親の間で生まれ、日本で育った子ども」が多い教室ではマイノリティです。外国にルーツをもつ子どもは日本語の勉強が難しく、日本の学校文化になじめず、学校から離れていきます。日本の子どもや教師にとっては「当たり前」と思っていたことでも、他国ではそうではないことも多々あります。日本の学校文化を、もしかしたら知らず知らずのうちに私たちは押し付けてしまっているのかもしれません。このように、マイノリティがマジョリティのコミュニティや文化になじめずに活動に参加できなくなることを「排除」と言いますは。他にも、貧困や不登校、障害など「排除」には、さまざまな背景をもつ子がいます。 

 

 では、「インクルージョン」の場合はどうでしょうか?インクルージョンの訳語には、「包摂」があてられます。先ほども述べたように、「排除される」子どもたちの背景には、さまざまな厳しい状況があります。その厳しさに向き合い、その子を排除するのではなく、教室の活動の中心にすえ、「一緒に学んでいく」ことが重要です。厳しい環境にある子どもたちが学習に参加できるように教師たちが中心にその子を含みこむことを「インクルージョン(包摂)」と言います。

 

 

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「インクルーシブ教育」とは?

 

 

 次に、インクルーシブ教育についてもう少し詳しく見ていきましょう。

 インクルーシブ教育を実践する上でキーとなるのが、WHO(世界保健機関)のICF(国際生活機能分類)です。ICFでは、これまで個人が克服すべき課題とされてきた障害を、社会との相互作用の問題を見なしています。 日本でも、2007年から「特殊教育」から「特別支援教育」となり、LDやADHDなどの発達障害も支援の対象となりました。そして、障害の種類や程度ではなく、「特別なニーズ」によって教育しようというパラダイムシフトが起こりました。

 1994年の「サラマンカ宣言」では、インクルージョンの対象が、障害児だけでなく、英才児、ストリートチルドレン、僻地や文化的少数派集団の子どもなど、多岐に渡っていますが、日本では依然として障害児のインクルージョンがメインです。ほかには、例えば不登校児のインクルージョンも近年増えてきています。また、個別指導・抽出指導等支援の枠組みの選択肢は増えています。しかし、インクルージョンが目指す目標などは明確に定まってはいません

 

このように、「インクルージョン」についてはあいまいなところもあります。「インクルージョン」について、よりこれからいっそう議論されるべきであり、すべての子どもたちが教育を受けられるようにするのが私たちには求められるのです。

 

参考文献

西田芳正,2012「排除する社会・排除に抗する学校」大阪大学出版会。   

http://ur0.biz/FRAO

酒井朗,2015「教育における解除と包摂」『教育社会学研究』第96集,pp.5-24。

若槻健,2015「「排除」に対抗する学校」『教育社会学研究』第96集,pp.131-152。

二羽泰子,2015「マイノリティに非排除的な学校への変容 -制度と学校文化の視角から-」 『教育社会学研究』第96集,pp.25-45。

酒井朗・多賀太・中村高康編,2012「よくわかる教育社会学」ミネルヴァ書房,pp.54-55。

http://ur0.biz/FRAH

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